熊本日日新聞に掲載されました【くまもと工芸四季ごよみ】

平成30年6月28日付け、熊本日日新聞・夕刊5面「くまもと四季ごよみ」に掲載されました。
風土&フードデザインYOSHIMURA代表・吉村尚子様に取材していだきました。

熊本日日新聞 くまもと工芸四季ごよみ ろうけつ染め 髙津明美

くまもと工芸四季ごよみ(48)—力強い色彩で自然表現—

ろうけつ染めの技法で、染額、着物、洋服、小物のほか、阿蘇くまもと空港のビルに設置されている陶板画のデザインなどの工芸美術を手掛ける、高津明美さん(70)=熊本市中央区。阿蘇をテーマにした多くの作品で知られ、
ダイナミックな構図やデザイン、力強い色彩が印象的です。その色使いは、制作の時に自分の中から湧き上がるエネルギーによって変わると言います。
2016年の熊本地震で半壊した益城町の工房を昨年末に再建。「地震から1年後に、作品に”赤”を使う気持ちがよみがえってきました。さぁ元気を出して、新しい花を開かせよう、と」
制作は、黄金の麦の穂やスイカ畑、季節の花など、身近な自然や風景を描くことから始まります。スケッチを基に図案をデザインし、麻・綿・絹などの布地に色を重ねます。どこまで色を重ね、どこでやめるかの判断は、理論と経験に基づくもの。「良い材料を使い同じ工程で作っても、人によって味が異なる料理のさじ加減にも似ていますね」
美術教員だった父はしばしば阿蘇にスケッチへ。一緒に風景を眺めた幼い頃の記憶が、高津さんの制作の根源にあります。第二高校を卒業後、兵庫女子短大デザイン学科へ進学。在学中にさまざまな工芸の技術を学んだうえで、染色の道に進むことを決意しました。「工芸には、知識、常識、教養、考える力、判断力を身につけ、人間性を養うことが必要」と、非常勤講師を務める必由館高校や崇城大学芸術学部などで、若い世代の指導にも力を注ぎます。
かつて染色の講師として勤務していた頃、「天草更紗」の染色を間近で見ていた高津さん。50歳を過ぎた頃に当時の職人さんに再会し、その技法を学びました。京都に通って型友禅を習得し、「天草更紗」で帯や着物などの作品を制作。今の時代に合うやり方やスタイルで、伝統を次の世代へ継承しようと懸命に取り組んでいます。
「日本一になる」という目標を壁に貼り、アイデアが浮かんだら夜中でも跳び起きて書き留める。そんな母の姿をずっと見つめていた長男の忠宏さん(45)は、この春から母のもとで本格的に染色を学び始めました。
(風土&フードデザインYOSHIMURA代表・吉村尚子、熊本市在住)

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「肥後菖蒲」の麻のれん。
高津さんの作品は2015年に熊本市中央区にオープンしたギャラリーやくまモンスクエア、県伝統工芸館、くまもと工芸会館などで展示・販売をしている。
ホームページにオンラインショップもある(撮影・吉村尚子)

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制作中の高津明美さん。日展で入選を重ね、2回の特選を受賞するなど、多くの受賞歴がある。
日展審査員や日展会員、現代工芸美術家協会評議員、現代工芸美術九州会副会長なども務める。
作品は県伝統的工芸品に指定されている